【2種高校】平成24年度 全国高等学校総合体育大会 県予選を振り返って

「西武台2年ぶり5度目の栄冠」
平成24年度 全国高等学校総合体育大会埼玉県予選を振り返って

埼玉県高体連サッカー専門部技術委員 為谷 洋介(東京成徳大学深谷高校)

 6月9日から6月24日にかけて、平成24年度全国総合体育大会埼玉県予選が開催された。関東大会参加2校(武南・正智深谷)、関東大会埼玉予選ベスト4(西武台・浦和東)、ベスト8(大宮東・伊奈学園・越谷西・花咲徳栄)がシード校となり、各地区から勝ち上がった40校を合わせて48校によるトーナメント方式で行われ、優勝は西武台、準優勝は武南、3位に正智深谷と浦和東という成績で終わった。この結果、西武台が2年ぶり5度目、武南は2年連続19度目のインターハイへの切符を手にした。
 優勝した西武台は、粘り強い守備からサイドチェンジを有効に使い、相手を揺さぶりシュートまで持ち込むのが特徴で総合力が高いチームである。一方武南は、運動量で相手を上回る機動力サッカーで、波状攻撃が特徴である。
 3位の正智深谷は、ターゲットである2トップを使い、両サイドから崩しフィニッシュまで持ち込むスタイルで準決勝まで駒を進めた。準決勝では西武台に対して決定的なチャンスを作りながらも得点には至らず延長までもつれ、PK戦の末、涙を飲んだ。同じく3位の浦和東は、準決勝で武南に前半を2-0で折り返すも、後半足が止まり、武南の猛攻を受け準決勝で破れた。
 技術・戦術的に見ると攻撃面においては、やみくもに判断無しでフロントコートに放り込む場面は少なくなり、攻撃の優先順位を意識しながら組み立てようとする姿勢は見られたものの精度が低く、ビルドアップの途中で相手にボールを奪われてピンチを招くシーンが見られた。また前に急ぎ、スピーディーになりすぎてボールを失うシーンや、ボールが繋がってもフィニッシュが雑になるシーンが多く見られた。
 守備面においては、自陣ゴール前においてボールウォッチャーになってしまうシーンが見られ、ラストパスの精度が高いチームや即興性のあるプレーには対応できず、簡単にゴールを奪われてしまうことが多いように感じた。守備における正しいポジションニングは当たり前にしながら、いつ、どこで、だれが、どのようにボールを奪うのかが、明確でないように感じた。
 チームとしてどう戦うか全体像をイメージし、それをチームにいかに浸透させるか、指導者としての力も結果に反映されていたように思う。
 全体を通して「個」のスキルアップとゲームを観る力、プレーの中で判断する力のレベルアップが必要であるように感じた。まだまだ、伸ばせることであり、追求すべき内容である。特にゲームを観る力、プレーの中で判断する力は洞察力が含まれてくるので、トレーニングの中からゲームの全体像をイメージし、色々な状況を想定しながら、判断させていくことが大切であるように思う。 
 大会を通して、6月の第2週から始まった県予選は、勝ち上がると土・日が連続で試合になり、選手起用の面や、グランドコンディションによる戦術的な部分での対策、メンタル的な部分でのタフさが必要であった。それらの部分で指導者の先を読む力、選手の気持ちのコントロールが器用にできたチームが上位に進出していたように思う。
 最後に、インターハイ本戦に出場する2校は、試合の中で起こりうる色々なことを想定しながら、よい準備をして大会に臨んでほしい。